タグホイヤーのOリング

 ここ最近、腕時計ばかり弄ってますが、今日もまた腕時計を2本。

 

1つ目はG-100-3BMJF。1か月で3~5秒ほど進むのですが、デジタル部とアナログ部の同期がとれないので

(20秒に1パルス分、分針が動くだけ)、4か月~7か月放置すると20秒ぐらい進みます。

 

これ自体は電波時計でもGPS時計でもないので普通(というか、まあまあ良い)なのですが、問題はアナログ部が”進む”方向にしか合わせられないという点。

20秒~39秒進んだ状態の時にズレに気づき、アナログ部を合わせようとすると、”H-SET”ボタンを押しっぱな

しにして、針を進む方向に23時間59分40秒ぶん早回ししなければなりません。

 

しかもこのボタン、誤操作を防ぐために他のボタンより少し引っ込んでいます。

ですので押すにも少し力が必要で、普通のボタン操作と同じ感覚で「押し続けている」つもりが、全然押せて

なかった・・・なんてことが起こります。意図的に少し強めの力で押し続けなければならないのですが、これ

が地味にストレスです。

 

しかも、押し続けて勢い余って完全に24時間以上進めてしまうと、またやり直し。

少し手前で押し続けるのを止めて、慎重にポチポチと分針を1/3分ずつ進めても、分針が1分動く角度は6度なの

で、20秒=1/3分=6/3=2度ですから、ルーペで確認せずに、もう一回押すと合うかな?とか思って押すと再び24

時間ぶん進めてしまってやり直しです。

これ、結構神経を使いますし、今までもこんな感じで何回かやり直すことがあります。これは結構ストレス。

 

”戻す(逆回転)”ボタンがあればポチと1回押せば合わせられる簡単な作業でも、このボタンがないので、この

方法しか合わせる方法がありません。

合わせた後はボタンを押し続けていた指の感触が希薄になってしまうほどです。

 

で、サイトをいろいろ見たところ、G-SHOCKの中にはトリマコンデンサが付いていて周波数調整(歩度調整)が

できる物もあるという情報を得て、さっそく裏蓋を外してみます。

 

確かにトリマコンらしきものがあります。情報によって方向はまちまち。”時計方向に回すと時間が進む”とか

逆に”時計方向に回すと時計が遅れる”とか、機種によって違いがあるのかもしれません。

 

でも、360度回るトリマコンデンサを時計方向に回した場合、0度~180度までは容量が大きくなる方向(時間が

遅れる方向)で、それ以上回すと、今度は逆に容量が小さくなる方向なので時間が進む方向になります。

 

だから機種によってというか、トリマコンデンサのローターとステーターの位置関係で、右回しで進む場合

と、遅れる場合があるのかも。

 

そのトリマコンデンサも機種によって素子感度も違うみたいで、ほんのちょっと動かしただけで大きく歩度が

変化する場合と、20度とか回してもあまり歩度が変わらないものもあるみたいです。

 

今回は気持ちだけほんの少し左回転(反時計方向)に回してみました。角度でいうと1度~2度ぐらいですかね。

 

これで歩度を見て、回す方向と回す量の目星をつけて調整することになります。

数週間をかけて、じっくりと合わせることにしました。調整目標は、遅れ方向で平均月差マイナス5秒以下

です。遅れ方向ならH-SETもかんたんで、デジタル部の時刻を合わせた後、”H-SET”ボタンをポチポチと

1~2回押すだけでアナログ部とデジタル部の同期がとれるようになります。

 

 

 2つ目はタグ・ホイヤーで、タグホイヤーのパイロットクロノグラフ530.806です。

 

4年ほど前に、腕の良い職人がいそうなお店にO/H・電池交換をお願いしたものです。

今回は電池交換をしただけですし、4年ほど前にお願いした店は店をたたんでしまいました。

 ほかの腕の良い職人さんがいる店を探してO/Hに出すか、O/Hといってもムーブメント自体までは分解しない

だろうという甘い考えで、Oリングにシリコングリス塗布をするだけなら自分でもできるかな・・・という

ことで、分解・清掃・Oリングにシリコングリス塗布・組み立てを行うことにしました。

 

まず、バンドをバネ棒外しを使って外します。

2本あるうちの1本はばね棒が壊れています(端のピンの片方がバネ棒のパイプ部分から抜け落ちる)。

手持ちがないので交換ができません。バンドを付けるときに大変ですが、次に外すときは合うバネ棒を

購入して交換したいと思います。

 

スクリューバックの裏蓋を外します。ここのOリングは先日交換したばかりなので問題なし。

 

次に竜頭を外します。ムーブメントを穴が開くほど観察し、”おしどり”部分の穴に細いピン外しを差し込んで

押しながら竜頭を抜き取ります。

 

その次にムーブメントを止めている2か所のねじを外し、卵ラグみたいなワッシャを外します。

 

そーっとムーブメントをケースから取り出して針を曲げてしまわないように安全なところに置いておきます。

 

ケースバックとケースが嵌合するねじ部を両方アルコールでフキフキ。結構錆がついてますが、アルコールで

フキフキし、可能な限り取り除きます。

 

竜頭と竜頭のOリングを清掃。Oリングを外そうとしましたがなかなか外れず、そんなに摩耗・変形していなさ

そうだったので無理に外さず清掃・シリコングリス塗布だけにしました。竜頭のケース部分の汚れも可能な限

りフキフキして、できるだけキレイにしました。

 

次はクロノグラフのボタン。ケース内側に出ている軸の端面にマイナスの溝が彫ってあり、これを反時計方向

に回して軸とボタンを分離します。ボタンとスプリングの清掃。Oリングはボタンの軸が通る穴(パイプ)部分に

あったので、小さいワッシャーとともに取り出します。このOリングは結構ダメージを負っています。

ケースのボタン部分を清掃したところで、手持ちにあるOリングの中から寸法的に合うものに交換しました。

 

ケースのボタン部分を清掃し、ケース内側からボタンの軸を通し、外側からシリコングリスを塗布したOリン

グ2個とワッシャーを通し、ボタンにスプリングをセットして軸に通しながらケース方向に押し付けます。

 

ボタンを押し付けながらケース内側から軸をドライバーで回して軸をボタンに留めます。

 

風防の内側をロディコとエアダスターでキレイにします。

 

ムーブメントの文字盤面の埃を軽くエアダスターで飛ばし、慎重にケースに入れて、文字盤の向きを合わせま

す。

卵ラグ型のワッシャとねじを使ってムーブメントを固定し、文字盤の向きがずれていないか確認します。

そして竜頭を元に戻します。

 

ボタンと竜頭を操作して正常に動くか確認して、ムーブメントについている埃や指紋をロディコとエアダスターでキレイにして、ケースのOリングの溝にに裏蓋Oリング(シリコングリス塗布済み)を載せます。

 

裏蓋を手で締めこみます。手で締められなくなったら3点式オープナーで適度に締めこみます。

 

最後に機能確認・外観確認を行って終了です。G-SHOCKより3倍ほど大変でした。

G-SHOCKと比べると、部品が恐ろしく小さいです。デジタル顕微鏡と非磁性強力精密ピンセットとマチ針を

駆使してなんとかできたといった感じです。

 

これで我が家にある面倒くさそうな腕時計は、今年5月に買った子どものを除き、ほぼすべてメンテナンスが

できました。

 

あ、G-SHOCK(G-100-3BMJF)の歩度調整は、最終的に2カ月ほどかかりそうですが、とりあえず2週間で

目途をつけようと思います。